東西線

6000形第1編成 搬入の様子

札幌市営地下鉄の最長路線

路線概要車両その他/主要諸元表]


路線概要

1976(昭和51)年6月に琴似〜白石間が開業。当時はオイルショックの影響もあって工事が遅れていた。
その1年前に先行して完成していた6000形第1編成(プロト車)を菊水〜白石間にクレーンで搬入、試運転が行われていた。
開業前に6000形を19本増備し、6000形20本(4両編成)で開業を迎えた。
ラインカラーはオレンジとなった。


南北線同様のゴムタイヤ駆動式の地下鉄であるが、東西線は1500V架空集電方式(パンタグラフによる集電)を採用。台車も異なり、大型のシングルタイヤとなった。また、大通では南北線の下をくぐる関係上、駅の深度がこれまでより深くなったため各駅にはエスカレーターが設置された。趣向を凝らした駅が多く、壁にはイラストが描かれるなどモダンな作りとなっている。ホーム長さも将来の車両増結を見越して、南北線よりも余裕のある構造になった。6000形自体も車内に時計台や大通公園のイラストをあしらうなど、当時としては非常にデザイン性に優れた路線であった。

当初はATOを装備しており、無人運転も計画されていたが乗り心地の問題と組合からの反対で計画は無くなり、ATOは平成3年ごろに外された。
ただし、車両基地と本線の回送の際には自動運転が行われる。


1982(昭和57)年には白石から新さっぽろまで延伸。
このときに6000形車両を4編成追加、中間車も製造され6両編成となった。


1998(平成10)年、琴似から宮の沢まで延伸。
ラッシュ緩和のために南北線では4ドアの5000形が投入されたが、東西線はホーム長さに余裕があったために車両を増結することになった。
さらに輸送力増強のために8000形2本(7両編成)と、6000形の増結用に8000形8300が製造され、東西線は7両編成となった。


2008(平成20)年2月に南郷7丁目駅中線ホームに、札幌市営地下鉄で初めてホームドアが設置され、同年5月より稼動した。
同年8月30日に6000形が営業運転を終了し、東西線の車両はすべて8000形に統一された。
同年9月にダイヤ改正を行い、ATOによる運転が始まった(ただし車掌は乗務している)。

2009(平成21)年3月には全駅にホームドアが設置され、同年4月より札幌市営地下鉄では初めてワンマン運転がスタートした。
同年7月13日より、4号車に「女性とこどもの安心車両」が導入された。設定時間は南北線と同じ。


東西線の車両基地は当初西28丁目駅の先にある西車両基地であった。
新さっぽろ延伸時に東車両基地を建設して、西車両基地は東豊線の車両基地となった。
現在は東車両基地に集約されている。
東車両基地は地上部にあるため、真横の国道274号線から留置されている車両を見ることが出来る(ただし、道路から建物が遠い)。
また、ひばりが丘駅からの引込み線の一部が地上(シェルター)になっているので、回送される車両を見ることも出来る。


2006(平成18年)年1月のナンバリングの導入に伴い、東西線の路線記号は「T」となった。
(TozaiのT)


駅一覧
駅名
(ナンバー)
読み方 ホームの形 エレベーター設置出口 備考
宮の沢
(T-01)
みやのさわ 1・4・6番 渡り線あり(折返し可能)
発寒南
(T-02)
はっさむみなみ 1番
琴 似
(T-03)
ことに バスターミナル 渡り線あり(折返し可能)
二十四軒
(T-04)
にじゅうよんけん 対面 4番
西28丁目
(T-05)
にし
にじゅうはっちょうめ
対面 1・3番 改札直結構造駅
西車両基地(東豊線)
渡り線あり(折返し可能)
円山公園
(T-06)
まるやまこうえん 対面 バスターミナル・6番
西18丁目
(T-07)
にし
じゅうはっちょうめ
対面 1・4・6番
西11丁目
(T-08)
にし
じゅういっちょうめ
1番 2・3号線連絡線あり
大 通
(T-09)
おおどおり 西1丁目・西3丁目・37番他 南北線・東豊線乗換え
渡り線あり(折返し可能)
バスセンター前
(T-10)
バスセンターまえ 9番
菊 水
(T-11)
きくすい 対面 3番 渡り線あり(折返し可能)
東札幌
(T-12)
ひがしさっぽろ 対面 1(※)・2番 改札直結構造駅
白 石
(T-13)
しろいし バスターミナル 渡り線あり(折返し可能)
南郷7丁目
(T-14)
なんごう
ななちょうめ
2面3線島 3番 始発電車発車駅
渡り線あり(折返し可能)
南郷13丁目
(T-15)
なんごう
じゅうさんちょうめ
対面 1番への途中
南郷18丁目
(T-16)
なんごう
じゅうはっちょうめ
対面 2番
大谷地
(T-17)
おおやち 対面 2番 札幌市交通局所在地
ひばりが丘
(T-18)
ひばりがおか 対面 1番 乗務区所在駅
東車両基地

渡り線あり(折返し可能)
新さっぽろ
(T-19)
しんさっぽろ 3(サンピアザ内)・8・9番 JR線乗り換え
渡り線あり(折返し可能)
※1番ホームのみエレベーターだけの独立出口

車両

東西線6000形プロト車(第1編成) 6000形(第1編成・試作車)
東西線の開業前から試運転で走った車両。チョッパ制御方式で車体は18mと大型化、片側3ドアとなった。この編成のみ試作車として前面が2000形の型を使って作られたため、後の量産車と異なる。前面だけではなく、細かい部分も異なる。「プロト車」とも呼ばれている(正確には初期の編成である6101+6201+6301+6901が試作車両の扱いである)。現在の札幌の地下鉄の特徴である「六角形の貫通路」を最初に採用した車両である。また、ドアブザーも初めて設置されたのは6000形からである。
車内には明るい色の化粧板に時計台・大通公園・赤レンガ道庁のイラストが描かれている。連結部付近の吊革は南北線の4本(専用席付近)から5本に増えた。
その独特な車体前面と、1編成しかない車両というレア編成ということもあって、マニアのみならず人気が非常に高い車両であった。2005年の市営交通情報誌でも「1編成しかないレア車両」として紹介された。

2007(平成19)年10月10日、29番運用をもって最終運転となり、離脱。廃車解体された。

※一部の部品が、交通資料館に展示されている。

東西線6000形(量産車) 6000形(量産車)
東西線開業時に、プロト車(第1編成)に続いて19編成76両が製造された。第2編成以降はすべてこの形となり、量産車とも呼ばれている。行き先表示を廃し、北海道のマークを正面に掲げ、クリーム色の車体にグリーンのラインが入った独特のカラーリングが特徴。ドアブザーの音色は編成ごとに異なり、さらに同じ編成でも左右のドアで音色が変わる。運転席横にはこれ以後7000形にまで引き継がれる三角形の窓がある。プロト車に比べるとドア窓の大きさが小さくなっているが、それでも十分大きい。
製造時期で違いがあり、新さっぽろ延伸時に備えて製造された4編成24両と、増結用の80両は天井やドア外部のイラストが省略されている。
その独特のカラーリングとスタイルから、1977(昭和52)年には鉄道友の会より「鉄道ローレル賞」を受賞した。これは札幌市営地下鉄で唯一の名誉である。
当初は正面右上に下2桁で編成番号が記載されていたが、宮の沢延伸時に左下に4桁で表示されるようになり、窓枠の上に黒いフィルムが貼られた。
その特徴ある車体は、幾度となく子供向けの本や小学校の教材「わたしたちの札幌」でも紹介されていた。また不動産会社「藤井ビル」のCMでも登場した。

2002(平成14)年以降から8000形との置き換えにより廃車が進み、2008(平成20)年8月30日をもって営業運転を終了した。
※前面部のカットモデルが青少年科学館に展示されている。また、交通局の養成所の実地教材として6000形のシミュレーターが使用されている。2009年からは廃車部品を組み合わせて作った6000形の先頭モチーフ(運転席が再現されている)があり、写真撮影用に利用されている。

東西線8000形 8000形
1998(平成10年)年に輸送力増強のために7両編成2本が導入された。この時に6両編成だった6000形を7両編成化するために8300(中間車)も24両製造された。
2002(平成14)年からは、6000形の置き換えのために毎年2〜4編成の割合で増備されていた。6000形から8300を抜き取って編成に組み入れるのと、全般検査の期限が来た6000形の入れ替わりで同じ車番を受け継ぐため(例:601号車→801号車)に製造順序と編成数が一致せず、バラバラである。現在は24編成168両が在籍しているが、05編成と18編成は欠番になった。理由は後述する。
南北線5000形をベースにした車両。6000形のように車内にイラストなどは描かれていない。5000形同様の車内設備と自動放送機能(英語放送は2005年から)を持つが、内装には違いがありヒーター内蔵式のシートに戻されている。
2006(平成18)年からは、法令改正に基づき札幌市営地下鉄で初めて連結部に扉を備えた編成が登場した。これ以降はワンマン運転に対応した編成が増備され、2005年までに製造された車両も随時ワンマン運転対応工事が施工された(ただし改造車両に扉は設置されていない)。
2006年度導入車両からは、吊革に高低差がつき、スタンションポールポールが設置された。また、ドア上のLED案内表示器にガラスのカバーが取り付けられた。

車体前面が営団地下鉄(現:東京メトロ)の06系・07系に酷似している。

その他

・東西線は最大9両編成を想定していたため、先頭車の番号が「69--」であった(8000形も同様)。しかし輸送力の見直しから宮の沢と発寒南は8両編成分のホームしか作られず、今後編成が長くなったとしても8両までで、9両編成での運転は事実上放棄された。さらに南郷7丁目駅に先行設置されたホームドアが7両分しかないため、増結の計画は完全に無くなったと言える(増結の計画を見越している場合、その部分のホームドアも設置されているため 例:東京メトロ南北線)。

・8000形は05編成・18編成が存在せずに欠番となっている。これは札幌市交通局の10箇年計画の中で運用数の見直しに関連した編成数削減(3編成)の項目があり、具体的に明記はされていないもの南北線ではすでに1編成が削減対象となっていたため(廃車になった3000形第1編成の置き換え車両が導入されていない)、残りの2編成削減は東西線を対象とされたものと思われる(東豊線は20編成しかなく、削減すると札幌ドームのイベント時などでの臨時列車に対応できなくなる恐れがあるため)。
6000形に組み込まれていた8305は8808に改番されて08編成に、8318は8816に改番されて6編成に組み込まれた。これらの車両の車番は通常の表示方法と異なり、プレートが貼られている。


・宮の沢駅ホームドア設置後の2009年3月5日より、発車時の放送の直後に流れる発車ブザーが東西線ホームでは流れなくなった。これはホームドアのチャイムと車両スピーカーからの発車ブザーと混同するためではないかと思われる。

・導入当初こそ注目された8000形であったが、6000形との置き換えが始まるや否や個人ブログや2chでは非難が相次いだ。特に6000形はローレル賞まで受賞した稀代の名車とファンの間では親しまれていただけに、それを廃車に追いやっている戦犯として8000形に対する批判は随所で見られた。

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