東豊線

7000形試作車

南北線のバイパスとして、札幌ドームへの足として…

路線概要車両その他主要諸元表


路線概要

東区は大きな市営住宅などの多数の団地を抱え、人口が多いにもかかわらず、地下鉄が通っていなかった。バスで地下鉄南北線やバスセンターまで行くのが当時の一般的な東区の交通手段であったが、南北線が時に乗車率200%を超えることもあり、飽和状態であった。そこで東区選出の市議会議員が地下鉄建設を推進。さまざまなルートが検討されたが、バスのメインラインでもある東8丁目・篠路通では南北線に近いと言うことで、東15丁目屯田通の真下を通過するルートに決定。1988(昭和63)年12月に栄町〜豊水すすきの間が開通した。しかし大通付近は西1丁目通の地下を通っているために、西4丁目駅前通の地下にホームがある南北線や東西線との乗り換えが遠く(動く歩道の設置も検討されたほど)、不便に感じられた市民の乗車率は計画を大きく下回り、「政治路線」と揶揄された。また、東区は地盤の関係で難工事となり、さらにバブル期に建設されたため建設債が膨大となり、市営交通の財政を苦しめる要因となった。
この頃、豊水すすきの以南の延伸計画は中央区山鼻地区方面を目指す予定であったが、市電の沿線住民が難色を示したこと(元々地下鉄は市電の置き換えに建設されているため)、国道36号線の渋滞緩和のために4号線計画に基づき豊平区月寒方面を目指すことになった。


東豊線第2期区間である豊水すすきの〜福住は乗車率が高く、特に2002(平成14)年の札幌ドームの完成により急速に沿線が発展。
マンション・道営住宅が数多く建設されて確実に乗車人員を伸ばしている。
東区側もつどーむの建設、再開発などで一時よりも利用客は増加傾向にある。


東西線と同じシングルタイヤ式の台車を採用、1500V架空集電式を採用。
東豊線は住宅地・繁華街(豊水すすきの)・市街地(大通・さっぽろ・JR札幌駅)を通過しているが、札幌市営地下鉄3路線では今のところ最も利用客が少ない路線である。
ラインカラーはスカイブルー。


開業時より7000形のみで営業している。
1993(平成5)年の交通局イメージアップ計画に基づき、福住延伸時にカラーリングを変更した7000形が増備された。


交通局の発表によると、2019(平成31)年度までにホームドア設置、ワンマン運転化が予定されている。
その頃には初期の7000形車齢が30年を超えるが、新型車両を投入するか現在の7000形を改良するのかは不明である。

バリアフリー法の制定前から、開業当時より全駅にエレベーター、エスカレーター、車椅子用トイレを備えている。また、建設費圧縮のために豊水すすきの以南はトンネルが小さくなり(既存の7000形も対応工事がなされた)、さらに学園前〜福住はすべて島型ホームとなり6両分のホームだけ建設された(2両分は基礎工事のみ完了)。また、美園〜月寒中央の一部区間は住宅地の下を通過するため、札幌市営地下鉄で初めて山岳トンネル工法で建設された。

東豊線の車両基地は、東西線西28丁目駅の先にある西車両基地である。
全線地下にあるため車両を見ることは出来ないが、回送の際には連絡線を通って東西線を通過する。
当初は栄町駅の先に建設する予定であったが、軟弱な地盤と土地収用の問題で断念した。
回送できない場合のために栄町駅の先には検車線があり、非常時の際(車両故障・パンクなど)に対応する。


2006(平成18)年1月のナンバリングの導入に伴い、東豊線の路線記号は「H」となった。
(TohoのTでは東西線と同じになるため、hoのHが採用された。)

2007(平成19年)年1月より、自動放送と英語・広告放送が導入された。
合わせて各ドアに点字シールが取り付けられた。

駅一覧
駅名
(ナンバー)
読み方 ホームの形 エレベーター
設置場所
備考
栄 町
(H-01)
さかえまち 2番 検車ピットあり
渡り線あり(折返し可能)
新道東
(H-02)
しんどうひがし 対面 2番
元 町
(H-03)
もとまち 4番 Y字留置線あり
渡り線あり(折返し可能)
環状通東
(H-04)
かんじょうどおりひがし 対面 2番
東区役所前
(H-05)
ひがしくやくしょまえ 4番
北13条東
(H-06)
きたじゅうさんじょうひがし 対面 1番
さっぽろ
(H-07)
さっぽろ 2・12・14番、北濃ビル他 南北線・JR線乗換え
2・3号線連絡線あり
大 通
(H-08)
おおどおり 対面 西1丁目・西3丁目・37番他 南北線・東西線乗換え
豊水すすきの
(H-09)
ほうすいすすきの 6番 乗務区所在駅
渡り線あり(折返し可能)
学園前
(H-10)
がくえんまえ 2・3・4番
豊平公園
(H-11)
とよひらこうえん 1番
美 園
(H-12)
みその 3番 一部
山岳トンネル区間あり
月寒中央
(H-13)
つきさむちゅうおう 3番
福 住
(H-14)
ふくずみ 2・3番 Y字留置線あり
渡り線あり(折返し可能)


車両

東豊線7000形 7000形(1・2次車)
1次車第1編成は東豊線開業の1年前(1987年 ただし届出は1988年)に完成し、東西線で試験運転を行っていた。しかし2次車以降も仕様が同一のため、時期以外の区分はないに等しい。
東豊線開業に合わせて合計15編成60両が製造された。8両編成までの増結を想定しているため後方の先頭車は「78--」となっている。
基本設計は東西線6000形をベースにしたチョッパ制御車であるが、車体長やドア幅・壁の厚さが変更され、車端部の吊革は6本になっている。ドアブザーは3000形第2編成以降の音色に準じ、水色系の化粧板にはライラックや牧場の絵などが描かれている(数は多くない)。

東豊線7000形(3次車) 7000形(3次車)
東豊線豊水すすきの〜福住間開業に合わせて、7000形3次車として5編成20両が導入された。
仕様はほとんど同一だが、運転席の機器がデジタル化され、行き先表示が復活(LED式の初採用)、札幌市栄地下鉄では初めてドア上には千鳥配列でマップ+LED式の案内表示器が1両あたり3台設置された。座席には着席区分が表示されている。
カラーリングは1993年の「交通局イメージアップ計画」に基づき、新塗装となった。合わせて交通局の「STマーク」が取り付けられた。

その他

・東豊線車両は、当初東西線6000形を追加製造し、カラーリングを変えて6両編成で運行する予定であった。しかし設計の見直しがなされて4両編成とされ、7000形が製造されることになった。
・南北線や東西線に比べるとドア幅が広くなったが、開閉速度が変わらないために遅く感じる。
・いまだに全編成に転落防止外幌が設置されていない。
・札幌ドーム、コミュニティドーム(つどーむ)、北海道総合体育センター(きたえーる)などの大型施設を沿線に抱えているため、イベント時は大混雑する。こうしたイベント時には臨時列車が運行されることが多く、福住駅奥の引込み線に2〜3編成をスタンバイさせて走らせている。
・南方面への延伸は当初北野方面が計画されていた。しかし東西線が近いために採算性が不透明なこと、また終点駅が現在の福住駅の位置になったために「共進会場駅」は不可能になった。その後そのまま国道36号線を南下して清田区役所付近までの延伸も検討されたが、計画には至っていない。
・基本規格は同じ東西線6000形車両は、天井機器の違いと一部の車両が東豊線の車両限界(3,918mm)を超えているため走行できない。一方8000形は東豊線の線内を走行できるが、認可を受けていないことと、学園前以南のホームが6両しかないために現時点で直通運転などは計画されていない。
・車庫が建設されなかったため、大通駅に東西線と連絡するトンネルを建設(2・3号連絡線)した。ここを通って西28丁目駅の先にある西車両基地まで回送される。逆に西車両基地から東豊線に回送される電車は、さっぽろ駅から栄町行きとして運用を開始する。かつては車庫入庫を兼ねた「栄町→さっぽろ」の運用もあったが、本線運用に支障が出るために数年で消滅した。

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